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Semantic MediaWiki (SMW) は、MediaWiki – ウィキペディアの基本 Wiki ソフトウェアとして最もよく知られています – の機能拡張のひとつで、Wiki コンテンツを検索、整理、タグ付け、閲覧、計算処理、共有することができます。 従来の Wiki では、コンテンツは全てテキストとして処理されるため、コンピュータはその内容を理解したり、計算処理することはできませんでした。SMW を使用すると、Wiki に 意味的注釈 (セマンティック・アノテーション) を追加することが可能になり、Wiki は協働型データベースとしての機能を持つようになります。 Semantic MediaWiki は 2005 年に初めてリリースされ、現在では常時 10 人以上の開発体制を擁して、100 以上のサイトで活用されています。 またさらに SMW が保存するデータを編集、表示、閲覧するための、数多くの 関連機能拡張 があります。 このため Semantic MediaWiki という用語は、これらの機能拡張群を含めて指して使われることもよくあります。
Semantic MediaWiki は、 EU および SEKT、ACTIVE による フレームワークプログラム (FP) プロジェクト、および Halo プロジェクトから一部の資金提供を受けています。
Contents
Semantic MediaWiki はなぜ必要ですか?[edit]
いまや Wiki は、コミュニティにおいて知識を収集し共有するための強力なツールとして定着しています。 これらの知識は、そのほとんどがテキストまたはマルチメディアファイルの形式で格納されます。 だからこそ、これらの知識は人間に読めてすぐ理解できるわけです。 ところがその一方で、Wiki は事実を個別に格納、抽出するのが得意であるにもかかわらず、これらの情報を照会したり集計するためにはあまり役に立ちません。 その簡単な例として、次の疑問について考えて見ましょう:
- 《市長が女性である大都市の、人口規模による世界上位 100 都市を知りたい》
理屈では ウィキペディア を調べて、この答えを見つけることができるはずです。 ウィキペディアには全ての大都市とその市長の記事が網羅されており、その市長の記事をみれば市長の性別もわかるでしょう。 しかし現実的には、人間がこの答えを出すのはまず不可能です – そのためには誰かが、世界の大都市の全ての記事をまず読む必要があります! また仮にそれができたとしても、得られた答えが正しい期間はそう長くはないでしょう。 コンピュータならこのような巨大データベースを楽に扱えるはずですが、Wiki からこの答えを見つけるためには大した役に立ちません。 どんなに洗練されたプログラムでも、自然言語のテキストを読んで「理解する」のは、トピックとその記述言語がきわめて限定されていない限りまだ不可能だからです。 Wiki のキーワードサーチも、やはり役には立ちません。
Semantic MediaWiki が組み込まれた Wiki では、これらの知識をコンピュータで扱うことができます。 すなわち、上記の疑問に答えを出すことができるのです。
Semantic MediaWiki は何に役立ちますか?[edit]
Semantic MediaWiki は Wiki テキストに記述する新しいタグを提供します。 これらのタグを使用すると、ユーザは Wiki に "意味的注釈" を記入できます。 このことで、最初は物事がより複雑化したように見えます。しかし Wiki の構造は劇的に単純化でき、ユーザは情報をよりすばやく検索できるようになり、Wiki 全体の品質と整合性はかえって大幅に向上しています。 SMW を使用した場合の利点は以下の通りです。
- 一覧表の自動生成 – Wiki には、一般的に数多くの集計リストが記述されます。 ウィキペディア自体にも、何千もの "スペインの都市圏の一覧 (人口順)" のようなリストがあります。 これらのリストは、全て人間が手で更新しなければならないため、どうしても間違いが起きがちです。 しかしそれ以上に、作成を待たれているリストの数は膨大であり、それらの全てを十分な品質で提供することはとても不可能です。しかし SMW を使用すると、リストは このように 自動的に生成できます。 これらのリストは常に自動的に更新され、しかもより多くの情報を盛り込むための変更も容易に行えます。
- 情報の視覚表示 – Semantic Result Formats や Semantic Maps 等の追加機能拡張により、様々な視覚表示書式が定義されています。 これらの書式を使用して、カレンダー、タイムライン、グラフ、地図、その他諸々の形式で、単純な一覧よりもはるかに見栄えよく表示することができます。
- データの構造化 – 一般的に MediaWiki は、データを構造化するためにカテゴリを大量に使用します。 これらのカテゴリは基本的には有用ですが、"バッキンガムシャーの河川" や "1620 年代に死亡した人物" となるとどうでしょうか。 もしこれらの情報を SMW を使用してページに埋め込めば、これらのカテゴリは単純なクエリに置き換えることができ、必要以上に複雑な分類システムをより単純化できます。 またさらに Wiki の意味的タグをテンプレート内に格納すれば、すなわち セマンティックテンプレート を使用すると、Wiki は堅固なデータ構造を容易に実現できるのです。 また Semantic Forms 機能拡張を使用すると、管理者はフォームを作成してセマンティックテンプレートのデータを追加、編集できるようになり、通常の Wiki テキストに比べてはるかに簡単、かつ直接的に、意味的情報を追加できます。
- 情報検索 – Halo や Semantic Drilldown 機能拡張を使用すると、個々のユーザが自分自身で、各々のクエリを作成して、望む情報を検索できます。
- 多言語一貫性 – ウィキペディアのような多数の言語を横断する Wiki では、多言語構成がもたらす巨大なデータ冗長性のために、かえってデータ不整合が起こりやすくなっています。 例えば エジンバラ の人口データは この原稿を書いている時点において 英語版、ドイツ語版、フランス語版のウィキペディアで全て異なっています。 もしデータが意味的に格納されていれば、例えば北京の人口について、たとえあなたが中国語を一言も解さなくてもすぐに答えを得られます。同様にどの言語からどの言語に対してでもデータを照会できるので、データを再利用したり、少なくともデータの不整合は検出できるわけです。
- 外部利用 – 一度データが SMW Wiki で作成されれば、これらのデータを Wiki の内部に留めておく必要はもはやありません。 これらのデータは CSV、JSON、RDF 等の書式で簡単にエクスポートできます。 このことにより SMW Wiki を他のアプリケーションのデータソースとして利用したり、特に社内利用する場合には、リレーショナルデータベースが通常担う役割を代行させることが可能です。 External Data 機能拡張と Result Format 機能拡張の表示機能を通じて、ある SMW Wiki から他の SMW Wiki のデータを使用できます。 このことにより Wiki 間のデータ冗長性を完全になくすことも可能になります。さらにいずれかの トリプルストアコネクタ機能拡張 を使用すると、SMW データを RDF トリプルストアで問い合わせることも可能です。
- データの統合と合成 – SMW システムに格納されたデータは、もはやばらばらの情報が蓄積されたものではありません。 Data Import、Data Transfer、External Data 等の機能拡張の働きにより、外部データ (例えば既存レガシーシステム、ウェブサービス、リンクしたデータソース等) のデータを統合したり、Wiki の既存の意味的データと相互関連付けを行うことができます。 このような SMW Wiki は、IT 環境における中央情報ハブとして機能できます。
Semantic MediaWiki はどこで使用されていますか?[edit]
Semantic MediaWiki は学術研究プロジェクトとして始まり、現在まで着実に成長してきました。 現在では世界中の 100 以上のサイトにおいて、多種多様な言語で使用されています。 その中にはフォーチュン 500 にランクされる企業や、バイオメディカルプロジェクト、行政機関、消費者ディレクトリ等が含まれています。 ウィキペディアの Semantic MediaWiki の記事には、有名企業等での使用例 が記載されています。 またこの種の SMW を使用するサイトの一覧は ここ や ここ でも見ることができます。 ここで注意していただきたいのは、これらのリストに掲載されているのは主に公開サイトのみであり、 企業や組織で内部利用される非公開サイトの、おそらく半数かそれ以下に過ぎないということです。
多くのコンサルティング会社が、自社のソリューションの一部に SMW を組み込んでいます。 例えば、, Sémantiki.fr、FZI、ontoprise、WikiWorks 等です。 (SMW 関係業務のために雇用されている人々や企業の一覧は、職務著作 ページで見ることができます。)
現在少なくとも 2 つのウェブサイトが、Semantic MediaWiki および派生機能拡張のホスティングを提供しています: Wikia および Referata。
また、企業、団体、個人で SMW をした際の肯定的な経験談を、推薦文 ページで見ることができます。
より詳しい情報[edit]
本サイトには、Semantic MediaWiki システムの設定や運用に関するさらに詳しい情報が掲載されています。 管理者マニュアル には、SMW (および SMW との協働用にインストール可能なさまざまな機能拡張) のダウンロードやインストール、トラブルシューティングに関する情報が記載されています。 利用者マニュアル には、プロパティの定義、クエリの実行、データの閲覧、等々の情報が記載されています。また よくある質問 には、よくある質問 (技術的・非技術的案件の双方) とその回答が記載されています。
問い合わせとユーザサポート[edit]
SMW プロジェクト へのお問い合せは お問い合せ ページをご覧ください。 コメントや質問については、現在活動中で誰でも参加可能な ユーザメーリングリスト や、IRC チャンネル、#semantic-mediawiki でも可能です。 より詳細なサポート情報については 各種サポート をご覧ください。
SMW のバグや機能要望は MediaZilla で受け付けています。 マニュアルの バグ報告 を参照してください。